文字と発音の基礎  06. 日本人学習者特有の発音上の問題点   ドイツ語スピーキング講座のトップサイトへ跳ぶ

0. はじめに
1. 診断テスト
2. 発音上の問題点
  2.1. 覚えるべき規則を覚えていないことによる誤り
  2.2. 規則のうろ覚えを前提に、英語の知識に引きずられて起こす誤り
  2.3. わかっていてもできないか、意識しないとやってしまう誤り
  2.4. もともと難しい語や規則の記述が簡単すぎて誤解しやすいもの
3. アクセント上の問題点
  3.1. 覚えるべき規則を覚えていないことによる誤り
  3.2. 規則のうろ覚えを前提に、英語の知識に引きずられて起こす誤り
  3.3. わかっていてもできないか、意識しないとやってしまう誤り

0.はじめに  ページトップへ

 みなさん、こんにちは、今回は、日本人学習者特有の発音上の問題点を取り上げます。ここでも、まず、頭で理解し、練習を通しそれを体で覚えるという方針で行きます。典型的な問題点と言われるものは、だいたい以下のどれかに分類されます。最初に発音、次にアクセントという順で見ていきましょう。

1.覚えるべき規則を覚えていないことによる誤り → 対策:規則を再確認しつつ練習する

2.規則のうろ覚えを前提に、英語の知識に引きずられて起こす誤り → 対策:英語との違いを再確認して練習する

3.わかっていてもできないか、意識しないとやってしまう誤り → 対策:なぜそうなるのかという問題点を把握して練習する

4.もともと難しい語や規則の簡単な記述から誤解しやすいもの → 対策:個々に取り上げて発音を覚える

なお、特に頻度の高い誤り(=優先的にチェックすべき誤り)には**をやや頻度の高い誤りには*をつけました。

 それでは、まず簡単な診断テストをやってみましょう。今から以下の30個の単語を発音してください。その後、その単語のすぐ横の「正しい発音を聞く」ボタンを押してみてください。それと同じ発音ができていれば、問題ありません。少し違うかなと思ったら、「こんな間違いでは?」と書かれたボタンを押し、もし指摘されたような間違いをしていれば、該当の箇所を参照してください。なお、このページには、日本人が起こしやすい典型的な間違いが58項目、網羅的にあげられていますので、最初から1つ1つ確認していくことも可能です。

 

1. 診断テスト  ページトップへ

1. wollen        1へ  2へ

2. komisch        1へ

3. sehen        1へ

4. viele        1へ  2へ

5. allein        1へ

6. Europa        1へ  2へ

7. Auto         1へ  2へ

8. Universität        1へ  2へ  3へ  4へ

9. Anzug        1へ  2へ  3へ  4へ

10. schön        1へ  2へ  3へ

11. studieren        1へ  2へ

12. alt        1へ

13. gerade        1へ  2へ

14. Dialekt         1へ  2へ

15. von         1へ

16. acht         1へ  2へ

17. und        1へ  2へ

18. ab        1へ

19. Tochter        1へ

20. ihr        1へ  2へ

21. schwer        1へ  2へ

22. was         1へ  2へ

23. spielen        1へ

24. Hemd        1へ  2へ

25. Buch        1へ  2へ  3へ

26. eigentlich        1へ  2へ  3へ  4へ

27. Vorschriften        1へ  2へ

28. gefallen        1へ  2へ

29. japanisch        1へ  2へ

30. normal        1へ


2. 発音上の問題点  ページトップへ

2.1. 覚えるべき規則を覚えていないことによる誤り  ページトップへ

1) 短母音とすべき所を長母音として読んでいる*  

  症例:wollen を「ヴォーレン」などと発音
  再確認すべき規則:アクセント母音は、その後の子音が2つ以上なら短い母音。  詳しい解説

    問題となる単語:wollen / Mutter / gefallen / Füller など

2) 長母音とすべき所を短母音として読んでいる  ページトップへ

  症例:komischを「コミッシュ」、Anzug を「アンツック」、などと発音
  再確認すべき規則:アクセント母音は、その後の子音が一つなら長母音。  詳しい解説

    問題となる単語:komisch / schade / Anzug など

3) 母音の後の h を読んでしまう**  

  症例:gehen を「ゲーヘン」などと発音
  再確認すべき規則:母音の後の h はその母音を長母音として発音するしるし。h 自体は読まない。  詳しい解説

    問題となる単語:gehen / sehen / stehen など

4) ie の発音の発音をそのまま「イエ」と読んでしまっている  ページトップへ

  症例:viele を「フィエレ」などと発音
  再確認すべき規則:ie は、一部の例外を除き「イエ」【iə】ではなく、長母音「イー」【 i: 】と発音する。  詳しい解説

    問題となる単語:viele / mieten など

5) ie と ei の発音を混同している

  症例:wieder を「ヴァイダー」などと発音
  再確認すべき規則:ie は長母音「イー」【 i: 】と発音する。「アイ」【ai】と読むのは ei のつづり。  詳しい解説

    問題となる単語:wieder など

6) 二重母音 ei の発音をそのまま読んでしまっている**  ページトップへ

  症例:allein を「アレイン」、Frankreichを「フランクレイヒ」などと発音
  再確認すべき規則:ei は「エイ」【ei】ではなく、二重母音「アイ」【ai】と発音する。  詳しい解説

    問題となる単語:allein /sein / vielleicht / Frankreich / arbeitest など

7) 二重母音 eu の発音をそのまま読んでしまっている

  症例:heute を「ヘウテ」などと発音
  再確認すべき規則:eu は「エウ」ではなく、二重母音「オイ」【Y】と発音。  詳しい解説

    問題となる単語:Europa / neu / heute / Leute など

8) ä の発音を a と混同*  ページトップへ

  症例:Wäsche を「ヴァッシェ」などと発音
  再確認すべき規則:ä は「ア」ではなく、日本語の「エ」【ε】。  詳しい解説

    問題となる単語:Wäsche / fährt / Sänger / Universität / kräftig など

9) ö の発音を o と混同*

  症例:schön を「ショーン」などと発音
  再確認すべき規則:ö は「オー」【o:】は異なり「オ」の仲間ではない。「オー」と同じように口を丸くしつつもあくまで「エー」【ø:】と発音する。  詳しい解説

    問題となる単語:schön / hören / möchten など

10) 後続母音がない場合の d の無声音化が身に付いていない**  ページトップへ

  症例:und を「ウンドゥ」などと発音
  再確認すべき規則:d は後続母音がない場合は、【d】ではなく、【t】と発音する。  詳しい解説

    問題となる単語:und / Abendessen など

11) 後続母音がない場合の b の無声音化が身に付いていない*

  症例:Lieblingsessen を「リーブリングスエッセン」、ab を「アブ」などと発音
  再確認すべき規則:b は後続母音がない場合は、【b】ではなく、【p】と発音する。  詳しい解説

    問題となる単語:ab / Lieblingsessen など

12) 後続母音がない場合の g の無声音化が身に付いていない*  ページトップへ

  症例:Zug を「ツーグ」、Tag を「ターグ」などと発音
  再確認すべき規則:g は後続母音がない場合は、【g】ではなく、【k】と発音する。  詳しい解説

    問題となる単語:Zug / Tag / Hamburg など

13) ch【x】 の発音が a/o/u/au の後なのに【ç】 になっている*

  症例:machst を「マヒストゥ」、Tochter を「トヒター」などと発音
  再確認すべき規則:ch a/o/u/au の後では、喉の奥からでる温かい息の音【x】を表す。  詳しい解説

    問題となる単語:machst / Tochterなど

14) 後続母音がない場合の r の曖昧母音化が身に付いていない*  ページトップへ

  症例:ihr を「イール」などと発音
  再確認すべき規則:r は後続母音がない場合は、【R】ではなく、曖昧母音の【ə】で発音する。  詳しい解説

    問題となる単語:ihr / Uhr / studiert / lernt など

15) アクセントのある er を「アー」【ə:】と発音してしまっている*

  症例:schwer を「シュヴァー」、lernenを「ラーネン」などと発音
  再確認すべき規則:アクセントのない語末のerは「アー」【ə:】と発音するが、アクセントが来るときは、eの部分を【e:】または【ε】と発音し、rの部分を曖昧母音の【ə】で発音するので、er全体では「エア」という発音になる。  詳しい解説

    問題となる単語:schwer / lernen / er / der / wer / werden など

16) 語末の s を「s」【s】ではなく「ズ」【z】と発音してしまっている*  ページトップへ

  症例:was を「ヴァズ」、das を「ダズ」などと発音
  再確認すべき規則:s は後続母音がある場合は「ズ」【z】と発音するが、語末のように後続母音がない場合は【z】ではなく、「ス」【s】の音を表す。  詳しい解説

    問題となる単語:was / das / bis / etwas など

 

2.2. 規則のうろ覚えを前提に、英語の知識に引きずられて起こす誤り  ページトップへ

1) u のつづりをドイツ語式の「ウ」【 u 】ではなく英語式に平たい口の「ア」【】 で読んでしまう*

  症例:studieren を「シュタイディーレン」、um を「アム」などと発音
  再確認すべき規則:u はひょっとこのように口を突き出した「ウ」【u】や【u:】の音しか表さない。  詳しい解説

    問題となる単語:studieren / muss / Hunger / um / Wohnung / Grundschule / duschen / unsportlich / warum / Wurst など

2) au や al をドイツ語式の「アウ」【 au 】や【al】ではなく英語式に「オー」【o:】や「オル」【l】 で読んでしまう*  ページトップへ

  症例:Auto を「オート」、alt を「オルト」などと発音
  再確認すべき規則: au は 二重母音「アウ」【au】、a は【a】か【a:】の音しか表さない。英語式に「オー」などと読んではいけない。  詳しい解説

    問題となる単語:Auto / Pause /auch / kaufen /außerdem / einmal /mal / alt など

3) ade をドイツ語式の「アーデ」【 a:dε 】ではなく英語式に「エイドゥ」【eid】 で読んでしまう

  症例:gerade を「ゲレイド」などと発音
  再確認すべき規則: ドイツ語の母音は原則として書いてあるとおりに読む。  詳しい解説

    問題となる単語:gerade / schade など

4) u をドイツ語式の「ウ」【 u 】ではなく英語式に「ユ」や「ュ」【ju】 と読んでしまう*  ページトップへ

  症例:Universität を「ユニヴェアジテート」、duを「デュー」などと発音
  再確認すべき規則: ドイツ語の母音は原則として書いてあるとおりに読む。したがって u は【u】か【u:】。  詳しい解説

    問題となる単語:du / Lust / Universität など

5) i をドイツ語式の「イ」【 i 】ではなく英語式に「アイ」【ai】 と読んでしまう

  症例:Dialekt「ダイアレクトゥ」などと発音
  再確認すべき規則: ドイツ語の母音は原則として書いてあるとおりに読む。したがって i は【 i 】か【 i: 】。  詳しい解説

    問題となる単語:Dialekt / Idee など

6) a をドイツ語式の「ア」【a】ではなく英語式に「エイ」【ei】 と読んでしまう  ページトップへ

  症例:Asien「エイジエン」などと発音
  再確認すべき規則: ドイツ語の母音は原則として書いてあるとおりに読む。したがって a は【a】か【a:】。  詳しい解説

    問題となる単語:Asien など

7) eu の発音が英語式に「ユー」【ju:】や「ユア」【juə】となってしまっている

  症例:Europa を「ユーローパ」などと発音
  再確認すべき規則:eu は二重母音「オイ」【Y】と発音する。「ユー」などと英語読みしてはいけない。  詳しい解説

    問題となる単語:Europa / neu / heute / Leute など

8) ee の発音が英語式に「イー」【i:】となってしまっている  ページトップへ

  症例:Kaffee を「カフィー」などと発音
  再確認すべき規則:ee は e の長母音「エー」【e:】と発音する。「イー」と英語読みしない。  詳しい解説

    問題となる単語:Kaffee / Idee など

9) oo の発音が英語式に「ウー」となっている

  症例:Boot を「ブート」などと発音
  再確認すべき規則:oo は o の長母音「オー」【o:】と発音する。「ウー」と英語読みしない。  詳しい解説

    問題となる単語:Boot / doof など

10) w をドイツ語式の「ヴ」【 v 】ではなく英語式に「ウィ」【w】 と読んでしまっている**  ページトップへ

  症例:wieder を「ウィーダー」などと発音
  再確認すべき規則: w は「ヴ」【v】の音を表す。英語式に「ウィ」【w】などと読んではいけない。  詳しい解説

    問題となる単語:wieder / schwimmen / will

11) v をドイツ語式の「フ」【 f 】ではなく英語式に「ヴ」【v】 と読んでしまっている**

  症例:von を「ヴォン」などと発音
  再確認すべき規則: v は「フ」【f】の音を表す。英語式に「ヴ」【v】などと読んではいけない。  詳しい解説

    問題となる単語:von / vor

12) z をドイツ語式の「ツ」【ts】ではなく英語式に「ズ」【z】 と読んでしまっている**  ページトップへ

  症例:zu を「ズー」などと発音
  関連する規則: z は「ツ」【ts】の音を表す。英語式に「ズ」【z】などと読んではいけない。  詳しい解説

    問題となる単語:zu / Anzug / fünfzehn

13) ge をドイツ語式の「ゲ」【gə】/【gε】ではなく英語式に「ジェ」【ə】/【ε】 と読んでしまっている**

  症例:gerade を「ジェラーデ」などと発音
  関連する規則: 母音の前の g はガ行【g】の音を表す。英語式に「ジェ」【】などと読んではいけない。  詳しい解説

    問題となる単語:gern / gerade / gestern / Geld など

  ◎ 例外ただしフランス語系の外来語である Orange / Genie / Ingenieur のみは「ゲ」【g】ではなく「ジェ」【】と読む。  詳しい解説

 

2.3. わかっていてもできないか、意識しないとやってしまう誤り  ページトップへ

1) ö の発音が 【u】か日本語式の「ウ」【】になってしまう*

  症例:schön を「シューン」などと発音
  問題点:ö は「オー」【o:】と同じように口を丸くしつつ「エー」【ø:】と発音するが、その際、口をとがらして突き出してしまうか、逆にしっかり丸くせず口を開かないまま曖昧母音を出すので「ウ」【u】や「ウ」【】になる。  詳しい解説

    問題となる単語:schön / hören / möchten など

2) o の発音が ö /e になってしまう*  ページトップへ

  症例:schon を「シェーン」などと発音
  問題点:「オー」【o:】の口がしっかり丸くならず平たくなるので「エ」と聞こえてしまう。  詳しい解説

    問題となる単語:schon など

3) o の発音が 【u】か日本語式の「ウ」【】になってしまう*

  症例:schon を「シューン」などと発音
  問題点:「オー」【o:】を発音する際、口をとがらして突き出してしまうか、逆にしっかり丸くせず口を開かないまま曖昧母音を出すので「ウ」【u】や「ウ」【】になる。  詳しい解説

    問題となる単語:schon など

4) 二重母音 au 【au】の発音が 日本語式の「アウ」【a】になってしまう**  ページトップへ

  症例:auch を「アウフ」などと発音
  問題点:「ア」から「ウ」への口の動きが写真機の絞りのように丸いまますぼめて突き出す形にならず、丸い口を平たくして「ウ」と言ってしまっている。  詳しい解説

    問題となる単語:auch / kaufen / Auto / Haus など

5) u 【u】の発音が 日本語式の「ウ」【】になってしまう**

  症例:gut 【gu:t】 を【g:t】などと発音
  問題点:「ウ」の口の形がすぼめて突き出す形にならず、口を平たくして「ウ」と言ってしまっている。  詳しい解説

    問題となる単語:gut / duschen など

6) 語中や語末の m の発音が 弱い**  ページトップへ

  症例:immer を「イマー」などと発音
  問題点:m の両唇の閉じ方が弱い。特に、口を開けて発音する n と調音点の共通する t や d などの子音が後続すると、日本語の「ン」の習慣で自然に口が開いてしまう。  詳しい解説

    問題となる単語:immer / Hemd / außerdem / dem / um など

7) ch【x】の音が弱すぎてほとんど聞こえない【(h)a】になるか、【hu】になる**

  症例:machst を「マッストゥ」、ach を「アー」、acht を「アフトゥ」などと発音
  問題点:喉の奥からちゃんと息を出さないで、口先だけ軽く「ハ」【ha】と言おうとするので、特に、子音がその後に続くと音を飲んでしまって聞こえなくなる。また ch が最後に来た場合は単なる母音だけの【a】になる。また口の開き方が少ないと【h】になる。  詳しい解説

    問題となる単語:machst / ach / acht / auch など

8) ch【ç】の音が【hi】になる  ページトップへ

  症例:ichを「イヒー」などと発音
  問題点:「ヒ」【ç】の発音がまだできていないだけでなく、ich「ッヒ」の「ヒ」の部分に誤ってアクセントを置こうとするので、【ç】が母音化して【hi】になる。  詳しい解説

    問題となる単語:ich / mich / dich / sich / feundlich など

9) sch や語頭の sp- や st- に含まれる【∫】の音が【s】になる

  症例:spielenを「スピーレン」、duschenを「ドゥッセン」などと発音
  問題点:sch や語頭の sp/st は【∫】や【∫p】【∫t】と発音するという規則がまだ身に付いていない場合もあるが、息の出し方が弱いのでやっているつもりでも充分【∫】になりきっていない場合も多い。また似たつづりの単語による英語の干渉もある。  詳しい解説

    問題となる単語:spielen / sprechen / sport / aufstehen / streng / duschen など

10) 子音が3つ以上続くと自然に曖昧母音【】か e という母音が入る  ページトップへ

  症例:machstを「マヘストゥ」、spielstを「シュピーレストゥ」などと発音
  問題点:子音と母音の組み合わせで音節ができている日本語の干渉で子音が3つ以上続くと無意識に曖昧母音【ə】や 「エ」 を挿入してしまうことがあるが、そのことが充分自覚化されていない。

    問題となる単語:machst / spielst / wohnst など

11) 語末の無声子音が発音されない*

  症例:Das geht nicht.を「ダス ゲーエ ニヒトゥ」などと発音
  問題点:話し言葉で語末に来る無声の破裂音が充分に発音されないのは通常の現象だが、その場合も、充分破裂させなくても調音する口の形は作って止めなければならない。しかし、まったくそれをせずにただ音をとばしてしまっている。

    問題となる単語:geht など

12) L と R の音が区別されない*  ページトップへ

  症例:Lehrer を最初の L と次の r の音を区別せず「レーラー」などと発音
  問題点:【R】の音がしっかりでないまま、日本語のラリルレロになっているため、L【l】の音と区別がつかない。  詳しい解説

    問題となる単語:Lehrer / studieren / rechts / Rektor など

13) B と W の音が区別されない*

  症例:Bein と Wein の発音が区別できない
  問題点:B 【b】は破裂音なので、日本語のバ行の音よりも強く発音する必要があるが、日本語のバ行の音と同じになってしまっていて、空気の破裂させ方が弱すぎる。また、W【v】も、少し口を開け上の歯を軽く当てて下唇を「ヴヴヴ」と柔らかく振動させなければならないが、その柔らかさが足りず日本語の「ブ」になっている。つまり、日本語の干渉でどちらの音も日本語の「バ行」の音に引きずられているので区別できない。  詳しい解説

    問題となる単語:Wein / Bein / wohnen など

14) 語中や語末の M が N になってしまう*  ページトップへ

  症例:Hemd を「ヘントゥ」などと発音
  問題点:日本語の「ん」のつづりは、後ろに【b】や【p】の音が来る「三番目」や「散歩」では【m】の音になるが、後ろに【t】や【d】の音が来る「サンタクロース」や「三段跳び」では【n】の音になる。m はしっかり口を閉じて発音するということを常に意識していないと、後ろに【t】や【d】の音が来たとき自然に口が開き気味になって【m】が【n】になってしまう。  詳しい解説

    問題となる単語: Hemd / dem など

15) 語頭の F が H になってしまう*

  症例:fünf を「ヒュンフ」などと発音
  問題点:上の前歯を下唇にきちんと当てていないので、後ろに u【u】や ü【y:】などの母音が来て唇が突き出されると、口が丸く開いてしまい【f】が【h】になる。  詳しい解説

    問題となる単語:fünf / Fund など

16) 語末の【t】と【ts】の音が混同される*  ページトップへ

  症例: seit を「ザイツ」などと発音
  問題点:語末の t【t】の音を、日本語式に母音を付けて「ト」と言ってはいけないという意識が強すぎてt【t】の音の息を充分破裂させる前に押さえるので、「トゥ」【t】が「ツ」【ts】になってしまう。

    問題となる単語:seit / geht など

17) 子音と母音が同時に発音される**

  症例:Tag などが「タアク」のような破裂感のないベターッとした発音になる
  問題点:たとえば【t】のような破裂音の子音と【a:】のような後続の母音をドイツ語式にまず子音、次に母音という微妙な時間差で発音するのではなく、日本語の「た」のように同時に発音してしまうため、子音の後の息などが聞こえずベターッとした日本語式の発音になる。

    問題となる単語:Tag / Buch / Park など

18) 特に語末の子音のあとに不要な母音が挿入される*  ページトップへ

  症例:seit を「ザイト」、Hamburgを「ハ・ン・ブ・ル・ク」などと発音
  問題点:子音と母音の組み合わせで音節ができている日本語の干渉で、特に語末や子音が連続するとそこに不要な母音を入れてしまっている。また、日本語式に子音の後にそれぞれ母音を入れて拍数を増やした音のイメージで単語をとらえるてしまっているので、たとえばもともと2拍の Ham-burg が5拍の「ハ-ン-ブ-ル-ク」に増えてしまう。

    問題となる単語:seit / Hamburg / Frankfurt など

19) ö の発音が ただの「エ」になってしまう*

  症例:schön を「シェーン」などと発音
  問題点:ö は「オー」【o:】と同じように口を丸くしつつ「エー」【ø:】と発音するが、その際、口が十分に丸くならないまま「エ」と発音してしまうので、「エ」【ε】か【e】になる。  詳しい解説

    問題となる単語:schön / hören / möchten など

 

2.4. もともと難しい語や規則の記述が簡単すぎて誤解しやすいもの  ページトップへ

1) 合成語であることに気付かず後に母音が来るので d を誤って有声化している

  症例:Abendessen を「アーベンドゥエッセン」などと発音
  問題点:一見すると d の後に母音が後続しているように見えるが、Abendessen は合成語であり、d の後に切れ目があるので【d】ではなく、【t】と発音。

    問題となる単語:Abendessen など

2) 合成語であることに気付かず後に母音が来るので b を誤って有声化している  ページトップへ

  症例:Halbinsel を「ハルビンゼル」などと発音
  問題点:一見すると b の後に母音が後続しているように見えるが、Halbinsel は合成語であり、b の後に切れ目があるので【b】ではなく、【p】と発音。

    問題となる単語:Halbinsel / halbamtlich など

3) アクセント母音の後の子音の数だけでは母音の長短が説明できないケースがある

  症例: Buch を「ブフ」、Obstを「オプストゥ」などと発音
  問題点:たとえば、Buch と doch や Weg と weg のようにアクセント母音の後の子音の数だけでは母音の長短が説明できないケースや、Obst や Arzt のような例外もある。これらは、一般原則とは別に個々に覚える方が効率的。

    問題となる単語: Buch / Tuch / Obst / Österreich / Arzt / weg など

4) 合成語であることに気付かず sh という子音の連鎖を誤って「シュ」【∫】と発音している  ページトップへ

  症例: deshalb を「デシャルプ」などと発音
  問題点:一見すると sh という子音のまとまりがあるように見えるが、deshalb は合成語であり、s の後に切れ目があるので それぞれ【s】と【h】で発音しなければならない。ドイツ語の「シュ」【∫】は sch というつづりで表し、英語とは異なり、sh で表されることは絶対にないということの確認も必要。

    問題となる単語:deshalb など

5) 個別に覚えないと なかなか発音できない単語がある

  症例:Universität を「ユニヴァーシタート」などと発音
  問題点:例外規則を含んでいたり、合成語の切れ目を含んでいたり、長い単語だったり、英語の干渉を受けやすい形だったりするため、発音が難しい単語がある。これらは規則を説明するよりそのまま個々に覚える方が効率的。

    問題となる単語:Familie / Universität / Anzug / vielleicht など

 

3. アクセント上の問題点  ページトップへ

3.1. 覚えるべき規則を覚えていないことによる誤り  ページトップへ

1) 通常は、第1母音にアクセントが来るという原則が曖昧

  症例:eigentlich を eigentlich などと発音
  再確認すべき規則:外来語だったり、非分離の前つづりが付いていたりしない限りは、原則として最初の母音にアクセントが来る。  詳しい解説

    問題となる単語:eigentlich / Abend / Außerdem / einmal / arbeitest など

2) 必ずそこにアクセントが来る前つづりを知らない  ページトップへ

  症例:Vorschriften を Vorschriften などと発音
  再確認すべき規則:分離前綴りに由来する ein-   aus-   an-   ab-   auf-   vor-   zu-   mit-   her- などには原則として必ずアクセントが来る  詳しい解説

    問題となる単語:Vorschriften / Zukunft / Angestellter など

3) 非分離前つづりにアクセントを置いてしまっている

  症例:Geschwister を Geschwister などと発音
  再確認すべき規則:非分離前綴りに由来する7つの前つづり be-   emp-   ent-   er-   ge-   ver-   zer- にはアクセントが来ない。その場合、次の母音にアクセントが来る  詳しい解説

    問題となる単語:Geschwister /bekommen /gefallen / besuchen / verstehen など

4) 特定の位置にアクセントを要求する決まった接尾辞についての知識がない  ページトップへ

  症例: japanisch を japanisch、Japaner を Japaner などと発音
  再確認すべき規則:-isch や -ner は、そのつづりの直前の母音にアクセントを置く  詳しい解説

    問題となる単語:japanisch / chinesisch / Japaner / Koreaner など

 

3.2. 規則のうろ覚えを前提に、英語の知識に引きずられて起こす誤り  ページトップへ

1) 外来語は、アクセントが後ろに移動するという原則が曖昧なうえで、主に英語系の単語からの類推で第1母音にアクセントを置いてしまっている

  症例:normal を normal 、Musik を Musik などと発音
  再確認すべき規則:外来語は第1母音以外(最後の母音あるいは最後から2つ目の母音)にアクセントが来る。  詳しい解説

    問題となる単語:normal /Musik / Dialekt / Student / Medizin / intelligent / aktiv など

 

3.3. わかっていてもできないか、意識しないとやってしまう誤り  ページトップへ

1) どの音節にも同じように2拍子でアクセントを置いてしまう。

  症例:einmal を einmal 、Referat を Referat などと発音
  再確認すべき規則:単語アクセントは一つの単語につき、一カ所だけ。

    問題となる単語:einmal / Referat / Idee など

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